はじめに
以前、2019年の世界全体での再生可能エネルギー発電量が原子力発電量を上回ったというニュースがありました。
それを聞いて、再生可能エネルギーがそこまで進んでいたのかと驚いたのを覚えています。
そこで、日本にはどんな再生可能エネルギーがあるのか調べてみたところ、あまりよく知らない地熱発電というものがあることを知り、調べてみたくなりました。 気になって調べた内容をまとめましたので、聞いたことはあるけどよく知らないという人は、是非とも最後まで読んでもらえると嬉しいです。
地熱発電のしくみは?
そもそもどうやって発電しているのかが分かりませんでした。調べてみたところ、地熱発電には主に2つの仕組みがあるようです。
フラッシュ発電
まずはフラッシュ発電という方法から説明したいと思います。
地下のマグマで温められ、蒸気と熱水の混ざったものを地下から汲み上げます。蒸気と熱水に分離します。熱水は地下に戻し、蒸気でタービンを回します。タービンの回転を発電機で電気に変換することで発電しています。発電に使用した蒸気は冷まして水にします。その水はまた蒸気を冷ますために使用したり、地下に戻したりします。こうして繰り返し発電を行います。
バイナリー発電
次は、バイナリー発電という方法です。
フラッシュ発電では、マグマで温められて生まれた蒸気で直接タービンを回していました。一方バイナリ発電ではマグマで温められた熱水を使って、水より沸点の低い媒体を温め、その蒸気でタービンを回します。そのため、そこまで高温でない温泉の熱などを利用して発電することができます。
余談ですが、大体の発電はタービンを回してその回転を発電機で電気に変えるという点では同じですね。発電というのは、何を使ってタービンを回すかで名前が決まっていると言えます。
地熱発電の特長は?
仕組みが分かったところで、地熱発電の良いところはどこなのかが気になるところかと思います。順に見ていきたいと思います。
CO2を排出しない
地熱による蒸気で発電しているため、燃料を燃やす必要がありません。そのため非常にクリーンな発電方法です。
発電量が安定している
地下のマグマによる熱を利用しているので、季節や天候に左右されず、昼夜を問わずに稼働できます。そのため、非常に安定した発電を行うことができます。
蒸気や熱水の再利用が可能
蒸気や熱水は、使用後に水に戻して土に返しています。戻した水がまたマグマによって熱されることで発電に再利用することができます。
国内資源のみでエネルギーを作れる
先に書いたように燃料を使用しないため、石油・石炭・天然ガス・ウランなど他国から輸入する資源に頼らずにエネルギーを生み出すことができます。
地熱発電に適した場所は?
地熱発電の適している場所はどこなのか。それは火山地帯や温泉地帯です。日本は世界有数の火山国です。アメリカ、インドネシアに次ぐ世界3位の地熱資源量となっています。なぜ日本に地熱資源が多いのかというと、日本の近くには4つものプレートが集まっているからです。
日本を取り巻くプレート
・太平洋プレート
・北米プレート
・ユーラシアプレート
・フィリピン海プレート
上の図をみると、日本がいかにプレートに囲まれているかが分かると思います。
なぜプレートに囲まれていると地熱資源が多いのかというと、マグマはプレート同士の摩擦熱で岩石が溶けることによってできるからです。そのため、プレートの集まっているところには地熱資源が生まれやすいというわけです。
そのため、日本は非常に地熱発電に向いていると言えます。
地球が生きている限り、プレートの活動は止まることはないでしょうから、マグマがなくなる心配もなさそうですね。 地熱発電は将来的にも期待できそうです。
地熱発電が普及しないのはなぜか?
こんなにいいことずくめの地熱発電ですが、まだまだ普及していません。地熱資源では世界3位の日本も、地熱による発電量は世界10位に甘んじています。 環境に恵まれているはずなのに、なぜ普及しないのでしょうか。理由を探っていきましょう。
設備投資に時間とコストがかかる
発電所の設備を作るだけではなく、本当に発電できるかどうか事前に地質調査、掘削調査を行います。そのため、時間とコストがかかります。この問題が非常に普及の妨げになっています。
自然や地域産業を破壊する可能性がある
地熱発電に適した地域には国立公園・国定公園・温泉施設があることが多いです。公園内には発電所を建てることができません。また温泉施設から温泉が出なくなってしまうなどの影響も考えられます。もしそうなったら、日本中の温泉ファンを敵に回すことになってしまいます。
騒音や振動の問題がある
タービンの回転音や、掘削作業による騒音・振動がある。タービンの回転音については人が住んでいる環境から充分距離を取るようにする必要があります。掘削音については、調査段階だけでなく、発電所を動かしてからも追加で掘削することもある。早朝や深夜の作業を避けるなどの対処が必要になります。
地熱発電の今後は
唐突ですが、エネルギーミックスという考えがあります。ひとつの発電方法に頼らず、いくつかの発電方法を組み合わせて使うという考え方です。 2017年時点における日本の電力供給のバランスは以下の通りです。
火力:81%
水力:8%
原子力:3%
再生可能エネルギー:8%
これを2030年には以下のバランスにしていこうというエネルギーミックスの目標を掲げています。
火力:56%
原子力:20%
再生可能エネルギー:24%
つまり、再生可能エネルギーを3倍に伸ばしていく目標があるということです。その実現には、24時間365日を通して安定供給できる地熱発電は大きく貢献できるでしょう。そのため、今後は地熱発電の開発資金をさらに投入していくと考えられます。そうすれば先ほど挙げたような課題を少しずつ解決でき、日本の主要発電方法になっていくでしょう。
おわりに
日本はものすごく光熱費のかかる家庭のようだなと思いました。エネルギー消費自体は大きいのに、そのエネルギー供給を賄う発電の80%を火力発電によって生み出しています。火力発電の燃料は輸入していますので、電気の大部分を海外から買っているようなものです。まさに電力会社に電気代を払っている家庭そのものです。
再生可能エネルギーの割合を増やして自家発電できるようになれば、環境に優しいだけでなく光熱費が下がることで経済的にも豊かになります。
環境と経済両方に影響の大きい再生可能エネルギーの今後から目が離せませんね。
それではまた。
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