はじめに
みなさんは、頭の回転が速いということにどういうイメージを持っていますか。
・会話をしていてすぐに切り返せる
・会議で自分の意見を瞬時に言える
・早口で止めどなく言葉が溢れてくる
こんなイメージを持っているのではないでしょうか。私はまさにこういうイメージを持っていたのですが、この本を読むことでそれは頭の回転の速さの一面に過ぎないということが分かりました。
それでは、本当に頭の回転が速いというのは一体どういうことなのでしょうか。これからご紹介したいと思います。
頭の回転が速いということへの勘違い
世間一般で持たれている頭の回転が速いことのイメージには、勘違いがあります。それは、常に高速回転していることが頭の回転が速いことだというものです。しかし、本当はそうではありません。頭の回転の速さというのは、常に一定ではないのです。人には頭の回転が速い時と遅い時があって、それを状況に応じて切り替えています。この本の中では、それを車のギアに例えてトップギア、ミドルギア、ローギアのように表現されています。
みなさんには、止めどなく話せる話題もあれば、じっくりと考え込んでしまう話題もあるのではないでしょうか。この差は一体どこからくるのか考えてみると、一つの答えが浮かんできました。それは、その話題について自分が一度でも深く考えたことがあるかどうかということです。普段から考えている話題であれば必然的に話したいことも増えるでしょう。この本の中でも、頭の回転の速さと思考の深さはトレードオフの関係にあることが書かれています。つまり、一見すると会議中に瞬時に答えを出しているように見える人も、頭の回転が速いからではなく、ゆっくり回転させて深く考えていた経験があったということです。ゆっくり深掘りして考えていたことを、会議の最中に素早く取り出して答えたのでしょう。この考えを素早く取り出している時というのは、頭が速く回転している時ということですね。ここの切り替えをスムーズに行える人が本当に頭の回転が速い人なのです。
改めて振り返ってみると、自分にもギアを入れ替える感覚が普段からあるということに気付きました。例えば、重要な会議がある日には朝から気持ちを仕上げるというか、そういうモードになろうと心の準備をする感覚があります。これがいわゆるギアを入れ替える作業だったのだなと今は思います。そう考えると、私の自然な状態はローギアなのかもしれません。同じ感覚がある人も多いのではないでしょうか。自然な状態がトップギアの人には、また違った感覚があるのかも知れませんね。 ところで、ここまでに語られていることを平たくいうと、ゆっくり考えていることもあれば、素早く考えて受け答えしていることもあるということです。そう言われると当たり前のようにも思えませんか。それが、どうして初めのような、常にトップギアでいるようなイメージを持ってしまうのでしょうか。
頭の回転が速いことに勘違いがあるのは何故なのか
どうして頭の回転が速いことが、初めに書いたような一面的なもののように考えられてしまうのか。それは、以下のような原因があるのではないかと思います。
・思考は他の人からは見えない
・世の中でますますスピードが求められてきている
まず、一つ目について説明します。当たり前なのですが、人が黙って考えている時には、その人が何を考えているのか分かりません。もっと言えば、本当に考えているのかも分かりません。会議の内容を考えているようで、今晩の献立を考えているかも知れません。流石にそれは極端な物言いでしたが、考えている時に人から見えているのは、発言をせずに黙っているという事実だけです。発言している人は分かりやすく視界に入るので、どうしてもそれに目が向いてしまいます。また、会議で発言しない人は会議に出ている意味がないというような意見も聞かれますから、余計に発言している時が印象づいてしまうのでしょう。
次に、二つ目。世の中の時短ブームというか、効率化社会というか、その時流はかなり強いと思います。効率化する方法について書かれた本なども、ものすごく多いですよね。世の中はどんどん便利になって、安く手に入るようになって、遠くの情報もすぐに手に入るようになっています。できることがどんどん増えている中で昔から変わっていないものがあります。「時間」ですよね。限られた時間の中でやりたいことが多すぎるという状態なので、いかにして時間をかけずにやるかという考えになるのは自然だと思います。生産性が求められるビジネスの世界だけでなく、日常生活にも効率化の流れが出てきているのはすごいことです。今更もう洗濯板の時代には戻れないでしょう。しかし、そのために素早く答えを出したりテンポよく受け答えできたりすることに美徳を感じ、逆にゆっくりとした会話に苛立ちというか、「聞いていられない」という感覚を覚えてしまうのだと思います。テレビをリアルタイムで観るしかなかった時代から、録画して観られるようになった現代では、早送りできないことを焦ったく感じるようになったのと状況としては近いですね。さらにビデオの時は「30秒送り」やチャプターなどはなく、早送りで流れる映像を追っていたのが懐かしい・・・というのは完全な余談ですが、こうした世の中の動きから最初のようなイメージを持つことにつながっているのだと考えられます。
今後はどうして行けばいいのか
こうして、本当に頭の回転が速いということが何なのか分かったからには、今後に活かしたいですよね。今後必要なのは、普段からゆっくり頭を回転させて深く物事を考える癖をつけることです。その成果を、会議や会話の時に素早く取り出すことができるように日々鍛えることが重要になってきます。電車の窓から見える景色と同じで、並走する電車はよく見えますが、止まっているものは一瞬で通り過ぎていきます。それは、もしかしたら興味のあるお店や看板だったかも知れません。人間には、同じ速さのものしかじっくり見ることはできないのです。速さを切り替えて自分にとって価値のあるものを見逃さないようにしたいですね。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。私は、この本を読んで頭の回転が速いということへの見方が変わりました。同じように、この記事がみなさんの気づきになるといいなと思います。
それでは、また別の記事でお会いしましょう。
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